第2目 アンタここを住み込みの屋敷と勘違いしてないか。職場放棄だぞ、屋敷はあっち。 「だから言ったでしょう? 私はとうに放浪の身。 それから私の元・屋敷はこっちです」 根無し草ってやつかい、めんどくさい身だな。 「青年様、貴方も似たような身でしょうに」 一緒にされちゃ困る。俺には寝床がある。雨を防ぐ屋根もある。風から身を守る壁もあるのさ。放浪のほの字もないぜ。 「それだって、全部廃墟ですよ。これを世間一般では根無し草といいます」 それがいいっていうヤツもいるのさ。 「理解しかねますね、せめて温かい毛布がないと」 なら探しに行けばいいだろう。ここには当分入荷する予定はないぜ。 ←1へ ◆ 3へ→ オリジナル トップ |